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【大学受験】最上位層の進路

2025年2月13日

こんにちは、教務の重松です。

 

月日が流れるのは早いもので、私自身が大学を受験したのも、もう20年以上前の話になってしまいました。

 

今回は20年前と現在で大学受験最上位層の動向がどう変化したのかを考察してみます。

 

先に断っておくと、かなり細かくマニアックな話になってしまいますので難関大受験に興味がある人だけ読み進めて下さい。

 

データは「高2駿台全国模試」の偏差値を使います。このデータを使う理由は、文系理系の比較がしたいというのと、母集団レベルの高い模試であるため、同じ上位層同士の間の微妙な差が読み取りやすいからです。

 

※データの補足。1999年のデータでは文理同じ問題(英数国)を解いていますが、2021年のデータでは「理系数学」「文系数学」と別の問題を解いている可能性があります。もしそうであれば高3模試と同様に理系に不利な偏差値になっているかもしれません。また1999年データが「合格可能偏差値」なのに対して、2021年では「合格者の平均偏差値」です。合格者上位層が青天井だと思われる理3や理1などの偏差値が合格に必要なものより高く出すぎている可能性があります。

 

2021年       1999年    
東大 理3 83.3 東大 理3 75
京大 76.7 京大 74
東大 理1 72.6 阪大 73
阪大 72.5 東大 文1 68
九州 71.0 九州 68
東大 文1 70.5 名大 67
東大 文2 68.7 北大 64
東大 理2 68.6 東北 64
京大 68.6 東大 文2 64
名大 68.1 東大 文3 64
神戸 67.2 京大 64
東大 文3 66.5 東大 理1 63
京大 66.5 東大 理2 62
東北 65.2 京大 62
京大 64.7 神戸 62
京大 64.5 京大 61
北大 64.4 京大 経済 60
京大 63.6 京大 60
京大 経済 62.9 京大 59
京大 62.7 京大 58
東工 情報 61.8 東工 5類 56
東工 60.6 一橋 経済 56
一橋 社会 58.3 一橋 社会 56
一橋 経済 57.3 東工 1類 55

 

変化が大きく表れていると思われる箇所を赤字にしています。

 

大きく3つの傾向が読み取れます。

 

1つ目は理工系の人気です。この20年間で社会・経済の多くの分野がIT化し、エンジニアの活躍領域が広がりました。広告業界・金融業界などは典型的だと思います。ITベンチャー社長など、理工系で「稼ぐ」イメージがしやすくなったというのもあるでしょう。

 

2つ目は、1つ目と裏表ですが文系学部の人気低下です。昔は横ならびor少し上にいた理系学部との関係が今では少し下になっています。文系学部出身者としてはさみしいところですが、社会の変化として納得できるところもあります。(時折耳にする「弁護士はもう終わりだ」といった話はさすがに信じすぎないほうがよいと思いますが)

 

3つ目は、医学部の難しさの緩和です。人気が落ちたわけではありませんが、2008年から定員緩和策がとられており、他学部が少子化で定員を減らす中医学部だけ定員を増やしています。地方国立大のデータが欠けているのでややわかりにくいですが、依然としてかなり難しいことに変わりはないものの、一時期の異常な難しさほどではなくなっているようです。

 

ここに表れているような微細な差は大人になってひいた目で見ると大した差に感じられないのですが、進学校のせまい世界に生きている高校生の目には意外と大きく見えるものです。私自身はランク的なものをほとんど気にしないタイプでしたが、高校時代の感覚を思い出して想像してみると進路選択に影響を受ける人もそれなりにいそうです。

 

進路選択上のアドバイスとしては、これらトレンドをふまえてそれにのっかるのもありだとは思いますが、この先の世の中がどうなるかは誰にもわかりません。(「AIに最初に職を奪われるのはAI研究者だ」というブラックジョークもあるくらいです)

基本的には行きたい大学、行きたい学部で選ぶのが良いと思います。少しの偏差値上の差は努力でくつがえしましょう。